ディケンズとロンドンを文学散歩しませんか?
私は12月になるとチャールズ・ディケンズの書いた『クリスマス・キャロル』という本を読むことにしています。この物語はスクルージという金もうけしか興味のない偏屈じいさんのところに3人の精霊がやって来て、彼の過去と現在と未来を見せるストーリーです。
最初の精霊は彼が妹と暮らした小さかった頃を見せ、親切な雇い主のもとで働いていた時代をふり返り、彼が金もうけ主義になって失った恋人を思い出させます。
2番目の精霊は彼の事務所で働いている事務員ボブの家族と、スクルージの甥フレッドの家族が幸せなクリスマスを迎えている現在の様子を見せました。
最後の精霊は彼に未来を見せ、今のままの生活を続けるとさびしい人生になることを伝えたのです。
3人の精霊のおかげでスクルージは心を入れ替え、それからはとても人々に好かれるいい人なったという物語です。
さてディケンズはロンドンに住んでいましたので、彼の小説にはロンドンの通りが出てきます。スクルージが仕事でよく行っていた王立取引所はロンドンのシティーと呼ばれる地域に今でも残っていますし、事務員のボブがクリスマス・イブの夕方に仕事を終えてウキウキして走って帰ったコーン・ヒル通りは今でも人の往来の激しい道です。
そういえば昔この辺りには有名な宿屋があったそうで、ディケンズも会食などでしばしば訪れたそうですよ。残念ながら現在はそこには石造りの立派な建物しかありませんが。
またディケンズの『ニコラス・ニクルビー』では、ロンドンのもっと西のエリアが出てきます。若い女の子が自宅から職場までこれほどの距離を歩いていたのかと、地図を見るとびっくりさせられます。徒歩で通勤するには時間がかかりすぎるように思いますが、『クリスマス・キャロル』でも事務員のボブが北のカムデン・タウンからシティーまで通っていたのですから、当時は長く歩くのは普通だったのかもしれません。もしかすると小説に書いてないだけで、乗合馬車などを利用していたのかもしれませんが。
小説に出てくる地名を探しながら物語を読んでいくと読書の楽しさがアップします。私はロンドンでボブの通ったコーン・ヒル通りや、『ニコラス・ニクルビー』でヨークシャーの校長がロンドン滞在中に利用していた宿があったとされたスノー・ヒル通りを見に行きました。
ヒルというくらいですから丘になっているのかと想像していましたが、行ってみると普通の平らな道でした。ロンドンの地名は地形に関係がないのかもしれません。
前回はディケンズの本に出てきた地名を少ししか回れませんでした。もう1度ロンドンを訪れるチャンスがあれば、ディケンズに描かれた19世紀のロンドンの街をしっかり見てみたいです。