バスの車内の空気がふわ~となった瞬間の話

ギリシャの公用語はギリシャ語です。看板にははギリシャ語と英語が書かれていますが、市バスなどはギリシャ語で行き先が表示されているので慣れるまでは苦労しす。市バスの運転手に「バスターミナルに行きますか」と聞いても、英語を使ったので拒否するように「ノー」と言われたこともありました。
ギリシャではあまりにも英語が通じないことに驚いて、私はその次にギリシャに行くまでに前もってギリシャ語を勉強したほどです。
首都アテネや有名な観光地なら英語でも大丈夫かもしれませんが、ちいさな田舎町や年配の人に英語で話しかけると逃げられます。文字通り話しかけた瞬間に嫌がられるのです。
それを知っていたので道行く人に「Excuse me(すみません)」と言いたい時には、ギリシャ語で「シグノーミ」と言いました。そう言うと逃げずに足を止めてもらえました。

ギリシャ語といって思い出すのは長距離バスに乗った時のことです。座っていると後ろの人が「Where are you from?(どこから来ましたか?)」と話しかけてきました。私がギリシャ語で
「イメ アポ ティン ヤポニア(日本から来ました)」
と答えたら、彼はギリシャ語で何か言いました。彼が何を言ったのか想像できましたが、それでも自信はなかったので
「ゼン ミラオ エリニカ(ギリシャ語は分かりません)」
と言いました。するとその人は「Do you like Greece?(ギリシャは好きですか?)」
と私が想像していた質問を英語でしてくれました。
「ネ、 ベベア(はい、もちろん)」
と私が言うと、ギリシャ語で答えたのでバスに乗っていた人々に私が彼と交わした会話が分かり、私がギリシャを好きだということが伝わったようです。私の後ろの空気がふわ~と軽くなったのを感じました。私は前を向いていたので人々の表情は見ていませんが、漫画の絵のように背後の空気が「ふわ~」とやわらかくなったのです。まるで「ふわ~」という音が聞こえるようでした。空気が温かくなったのではなく、ふわふわした空気が下から上に揺れ動いたような感じでした。
 
言葉が通じると心も通じるような気がしますね。私はギリシャ語の会話を楽しみたくて、ばっちり分かっている場所(例えば郵便局など)がどこにあるのか聞いたりしていました。ちなみにギリシャではお礼を言う時は怒っているような強い口調で「エフハリスト!」と言います。日本のようなやさしい言い方ではなく、怒鳴るように最後の「ト」を強調するとギリシャ語らしい言い方になるのですよ。